人生をより豊かに。

変わる子ども観

 乳幼児期の経験が、人生を左右すると言われています。脳の発達上、この時期に多くの感覚が敏感のピークを迎えるからです。私たちは、これらを踏まえ、その感覚を適度に刺激し、地域コミュニティの中で子どもたちを大切に育て、次の社会に託していきます。そのため、子どもを一人の人格を持った市民として接し、子どもたちが自分を存分に発揮し、社会に貢献しようとすることを願っています。それが、その子の心身や社会的な健康を意味する【ウェルビーイング】を形成し、人生をより豊かなものにしてくれると信じているからです。

 そして、「子ども観」が大きく変化しています。

 子どもが思いやりを持って生まれてくること、また、社会性や援助力を携え、自ら生きていくための行動を主体的にとる『有能で能動的な存在』であることが科学的に実証されています。このような最新の科学的知見に基づく新しい「子ども観」を把握し、子どもたちの可能性や能力を引き出す保育・教育環境を作ることが重要です。

これから必要となる力

 これからの子どもたちに必要となるのは、どのような力なのでしょうか。

 世界では、この3つの力を掲げています。(OECD「Education 2030」より)

・新たな価値を創造する力
・対立やジレンマを克服する力
・責任ある行動をとる力

 そのような力を育むため、当園が大切にしている実践がこちらです。

・新たな価値を創造する力
【好奇心や探究心を刺激する日常】
→子どもの好奇心や探究心に寄り添い、子どもの自発的な遊びの発展をサポートします。

・対立やジレンマを克服する力
【トラブルに向き合い立ち直る日常】
→異年齢集団で起こるトラブルを通して、立ち直り方や他者とより良く問題解決していくサポートをします。

・責任ある行動をとる力
【主体的に活動して自分や集団を振り返る日常】
→自分らしさを保障された環境で、主体的な活動に責任が持てるよう振り返りの機会をサポートします。

主体性と自発性を促す言葉

 あくまでも、主体は子どもたちであり、私たちはサポーター(支援者)です。そんな私たちは、答えではなく「気づき」を与えるサポートを心がけ、子どもたち自ら目の前の問題と向き合えるよう促し、自ら考え行動する力を育みます。具体的には、「どうした?」「どうしたい?」「どうしてほしい?」といった言葉がけなどを通して、子どもの主体性と自発性を促します。

 何が起こるか予測ができない、正解は一つではないこれからの※VUCA時代において、答えは自ら創り出せるものであることを感じてもらいます。そして、「その子らしさ」を保障し、一人ひとりの得意をいかす環境を構成します。その子の得意分野から、社会的実践へと結びつけるような遊びの発展を心がけています。
 例)恐竜好き
①恐竜の図鑑で文字に触れ、様々な恐竜絵本を読む。→文字が読めるようになる。→他児に向けて読み聞かせをしてもらうよう提案する。→人の役に立つことに喜びを感じる。
②恐竜の動きを真似たり、恐竜の塗り絵を楽しみ、多様な自己表現方法を経験する。→表現活動行事でそれらを取り上げる。→他者との多様なコミュニケーション方法にいかす。
③化石に興味を示し、発掘されている地域を調べる。→日本や世界の地理や国旗に関心を持つ。→ 多様な地域や国の特性や文化を知る。→文化や様式、自分との違いに気づく。

※VUCA:V(Volatility 変動性)U(Uncertainty 不確実性)C(Complexity 複雑性)A(Ambiguity 曖昧性)

異年齢集団の重要性

 かつて、子どもは年齢的に近いなかで学ぶものと考えられていましたが、昨今では、年齢や能力が多様な集団で一緒に活動することが、子どもにとって良いことだと多くの人が主張しています。子どもたちはお互いからより良く学ぶと同時に、ギブ・アンド・テイクの技術を身につけるからです。そして、子ども同士の相互作用は、発達を促進させ、能力を定着させます。

 大人と子どもの間では、大抵大人が子どもへ指示するという傾向があるのに対して、子ども同士であれば双方向の学び合いがより一層うまくいきます。異年齢集団の中での子ども同士の学び合いが、より発達を促すということです。そのため、当園では「異年齢集団」と「子ども同士の関わり」を大切にしています。

 こういった思いを抱きながら、子どもたちを理解して必要な環境を整えていきたいと考えています。全ては、その子のウェルビーイングを形成し、自ら自分の人生をより良く生き、より豊かになることを楽しんでもらいたいといった願いからです。

見守る保育藤森メソッド

 当園では、保育所保育指針や幼保連携型認定こども園教育・保育要領を、乳幼児教育研究家の藤森平司氏が解釈して提唱している「見守る保育藤森メソッド」の哲学を基盤に、子ども主体の保育を実践しています。

 「見守る保育藤森メソッド」の詳細は、こちらのホームページをご覧ください。